「40代ですが、妊活を始めるのは遅いでしょうか?」「妊活は、何歳までできるのでしょうか?」
妊活専門の当院には、さまざまな方が妊娠を願って来られます。なかでもよくいただくのが、この2つのご相談です。
結論からお伝えします。40代での妊娠・出産は、もう珍しいことではありません。当院でも40代で出産された方を多く見届けてきましたし、私自身も不妊治療を経験し、妻は40代で自然妊娠・出産しました。
そのうえで、もう一つ確実に言えることがあります。妊活は一人ではできない、ということです。そして、パートナーとの向き合い方は、年齢の数字と同じくらい、あるいはそれ以上に妊活を左右します。この記事では、40代からの妊活の現実と、夫婦ですれ違ったときの乗り越え方、今日から始められる「体と心の整え方」までをお伝えします。
40代の妊活は「遅い」?まず知っておきたい現実のデータ
不安な気持ちを、まずは事実で少しほぐしましょう。
厚生労働省の人口動態統計(2024年・確定数)では、40〜44歳の出生数が約4万3,000人にのぼり、初めて20〜24歳を上回りました。第1子を生む母親の平均年齢は31.0歳です。40代で妊活を頑張る方は、もう少数派ではありません。
40代で出産される方は、決して珍しいことではありません。実際に、40代で妊娠・出産を経験される方は毎年多くいらっしゃいます。
ただし、出生数が多いことと、妊娠率が高いことは異なります。年齢とともに妊娠率は低下し、流産率は上昇するため、40代では早めに専門医へ相談することが大切です。
一方、日本生殖医学会の解説によると、一回の妊娠における流産の頻度は平均15%で、加齢とともに増加します。流産の70〜80%は胎児(胎芽)の染色体異常によるもので、夫婦の染色体が正常でも起こります。また、卵子は出生時から数が決まっていて、加齢とともに数も質も変わっていきます。そのため「月経がある限り妊娠できるわけではない」と解説されています。
ここまで読むと、少し不安になったかもしれません。でも、同じ解説には、こんな言葉もあります。
「40歳代不育症女性の半数以上が出産に至っており、流産にくじけないことが大切です」
年齢は変えられません。だからこそ当院は、変えられるもの——生活習慣・血流・体調、そして夫婦の関係——に集中して整えていくことが、一番の近道だと考えています。
「妊活は何歳まで?」当院の考え方
「高齢出産」という言葉には明確な定義はありませんが、一般的には35歳以上を指すことが多いとされています(国立成育医療研究センター)。
ただ、皆さんに本当に知っておいてほしいのは、境界線の数字だけではありません。
- 閉経の前まで生理があっても、排卵や妊娠が続くとは限りません
- 体づくりの効果は、卵子も精子も「約3か月前の体」から現れます
- 40代なら、婦人科や生殖医療センターでの検査(AMH検査など)と並行して進めるのも、大切な選択肢です
つまり「何歳までできるか」という線を探すより、「いつから始めるか」——今日から3か月を積み重ねられるか——のほうが、ずっと意味のある問いです。年齢のデータは、不安のためではなく、判断のために使ってください。
妊活は一人ではできない——夫婦でよくある4つのすれ違い
普段は仲が良いのに、妊活のことになると話し合いがうまくいかない——そうお聞きすることが、本当に多くあります。代表はこの4つです。
- サプリや栄養をなかなか飲んでくれない
- お酒・タバコを控えてくれない
- タイミングがうまく取れない
- 結果が出ず、モチベーションが続かない
妊活は、夫婦の意識の差が一番出やすい時期です。どちらも正しいことを言っているのに、すれ違う。これは、どちらかが悪いわけではありません。
相手を変えようとするほど、イライラは募る——まずは自分の体を整える
「どうして変わってくれないの」と、変化を待ち続けると、イライラは募る一方です。
ところが、このイライラこそが妊活の足を引っ張ります。イライラや緊張が続くと交感神経が優位になり、血管が収縮。子宮や卵巣の血流が悪くなりやすいと考えられています。せっかく整えようとしている体に、酸素や栄養が届きにくくなってしまうのです。
ここで、当院がいつもお伝えする考え方があります。
「相手を変えるより、自分自身の体を見つめ直すほうが、ずっと簡単です」
パートナーの心と習慣は中々変えられません。でも、自分の睡眠・食事・血流は、今日から変えられます。まず自分が整うと心に余裕が生まれ、伝え方が柔らかくなり、会話が前に進みます。実際に当院でも、奥様が先に整って、その姿を見たご主人が動き始めた——という方は多くおられます。
妊活の基本は「まず、体を元気にする」——脂肪細胞が「妊娠の指令」を出す話
妊活は、まず体を元気にすること。その根拠の一つが、脂肪細胞の働きです。
脂肪細胞は「レプチン」というホルモンを分泌し、脳に「エネルギーは十分に蓄えられている」と伝えます。このシグナルは、排卵に必要なFSH・LHの分泌を促す経路に関わることが知られています。つまり、体にある程度の余裕がないと、「妊娠してもいい」という指令が脳から出にくいのです。
急激なダイエットで体重を減らしすぎると、月経が止まってしまうことがあります(体重減少性無月経)。一方で、食べすぎや太りすぎも、排卵やホルモンバランスを崩しやすくなります。大切なのは、欠食をしない・血糖値を急上昇させない食事を続けること。極端なダイエットでも、極端な太り方でもない「整った体」に近づけることが、結果的に妊娠力を守ります。
体と心が整っているとき、人は妊娠しやすくなります。まずは、体と心を整えることから始めましょう。食事のくわしい内容は、過去の当院のブログ記事「妊娠しやすい体づくりの基礎(食事・睡眠・運動)」(こちら)で解説しています。
ご主人への伝え方——「精子の質」より「体が元気になる」と伝える
ご主人に妊活の協力を求めるとき、当院がご提案するコツがあります。
男性は「自分事」として捉えられるテーマには、わりと動きやすいものです。ところが「精子の質が良くなる」と聞いても、実感が湧きにくく中々実践できない方がおられます。そこで当院では、「精子の質がよくなる」というより「体が元気になる」と伝えたほうが、ご主人は動きやすいとお伝えしています。
お酒やタバコも、「やめられない」本人にとってもストレスです。「どうしてやめてくれないの」で互いに疲れる前に、まずは睡眠と食事——誰でも取り組みやすい一歩から、二人で始めてみてください。
それでも、知っておいてほしい事実があります。精子は約3か月(約70日)かけて新しく作られます。今日の生活は、3か月後の精子に反映されるということです。お酒やタバコをいきなり「禁止」にするより、「3か月だけ一緒にやってみよう」と提案するほうが、前向きに動いてくれるご主人は多いです。
今日からできる2つのこと——「睡眠の質を上げる」「抗酸化を習慣にする」
当院のブログでも以前お伝えしましたが、妊活の土台は、睡眠の向上と抗酸化です。
その1:睡眠の質を上げる
- 7時間程度の睡眠を目安にします
- 就寝前1時間はスマホを離し、部屋を暗めに(睡眠ホルモン「メラトニン」は、暗くなってから分泌されます)
- 朝、太陽の光を浴びる(体内時計が整い、夜のメラトニン分泌がスムーズになります)
メラトニンは眠りを誘うだけでなく、強い抗酸化作用を持ち、卵子や精子を活性酸素から守る働きが注目されています。
その2:抗酸化を習慣にする
活性酸素は、体を「サビつかせる」物質です。細胞やDNA、卵子・精子を傷つけやすくなります。
- 色の濃い野菜・果物(ビタミンC・E、ポリフェノール)を毎食に
- 酸化した油(古い揚げ物など)を避ける
- 過剰な運動・喫煙・強い紫外線にも注意
詳しい対策は、過去の記事「酸化ストレスと妊活の関係」(こちら)、「妊活中に避けたいNG習慣・NGフード」(こちら)で解説しています。
まとめ——体と心を整えることは、二人の関係を整えること
- 40代の妊活は遅くない。ただし、年齢のデータは「不安のため」ではなく「判断のため」に使う
- 「妊活は何歳まで?」の答えは、統計の線よりも先に、「二人が納得できるまで」
- 相手を変えようとするより、まず自分の体と心を整える。それが夫婦の余裕につながる
- その土台は、睡眠・食事・抗酸化——今日から始められることばかりです
当院は「鍼灸×分子栄養学×中医薬膳」で、妊活中の体と心の整えをサポートしています。妊活は一人ではできません。だからこそ、二人で乗り越えられるよう、私たちも隣で支えます。まずは一度、ご相談ください。
よくあるご質問
Q. 40代からでも妊活は間に合いますか?
A. 当院では40代で出産された方を多く見届けてきましたし、院長の妻も40代で自然妊娠・出産しました。一方で卵子の質は加齢とともに変化するため、体づくりと並行して婦人科の検査を受けることをおすすめします。
Q. 夫が協力的でなくて、ついイライラしてしまいます
A. 相手を変えるのは難しいので、まずご自身の体を整えることをおすすめします。イライラは交感神経を優位にし、血流を悪くします。ご主人には「精子の質」より「体が元気になる」と伝えると、動きやすい方が多いです。
Q. 今日から何を始めればいいですか?
A. ①就寝前1時間のスマホをやめてよく眠る、②欠食をしない、③色の濃い野菜・果物を毎食に——この3つからで十分です。まずは3か月続けてみてください。
参考文献
- e-Stat「人口動態調査 人口動態統計(確定数)」厚生労働省 https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411599
- 一般社団法人日本生殖医学会 生殖医療Q&A Q23「女性の加齢は流産にどんな影響を与えるのですか?」 http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa23.html
- 国立成育医療研究センター「高齢出産は高リスク?35歳以上での妊娠・出産の注意点を解説」 https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/column/kourei.html
- Iwasa T, et al. Effects of low energy availability on female reproductive function. Reproductive Medicine and Biology. 2022. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/rmb2.12414
- Ye H, et al. Melatonin and Female Fertility: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2026. https://www.mdpi.com/2072-6643/18/20/3431
- 一般社団法人日本思春期学会「ダイエットをしてから、月経が止まりました」 https://adolescence.gr.jp/general/q02/
監修・執筆

市川博永(はり師・きゅう師/中医薬膳師)——レガロ妊活鍼灸院院長・ふないり鍼灸整骨院院長。開業18年、延べ10万人以上の施術実績。自身も不妊治療と流産を経験し、妻が40代で自然妊娠・出産。開院5年で100人以上の妊娠報告。「鍼灸×分子栄養学×中医薬膳」による体質改善を軸に、IGL医療専門学校での特別講義や、一般社団法人婦人科セラピー協会のオンライン講師など後進の育成にも携わる。
※本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療の代わりになるものではありません。治療中の方は主治医にもご相談ください




