妊娠しやすい体づくりの基礎(食事・睡眠・運動)|広島の妊活不妊鍼灸(レガロ)
妊活中、何から始めれば「妊娠しやすい体」に近づけるのか——当院で最も多くいただく質問が「何を食べたらいいですか?」です。
結論から言うと、特別なことではありません。妊活の食事・運動・睡眠の3本柱として、「欠食しない」「糖質に偏らない」「揚げ物の頻度を下げる」「よく眠る」「下半身を動かす」——この5つを毎日の中に積み重ねることが、妊娠しやすい体へ近づく基本です。
(※この記事は一般的な情報提供であり、診断・治療の代わりになるものではありません。治療中の方は主治医にもご相談ください)
目次
- 欠食をしない(血糖値を安定させることが妊娠力を守る)
- 朝・昼の食事を糖質中心にしない
- 甘いものを食べる時の一工夫
- 惣菜の揚げ物を控える(酸化から卵子・精子を守る)
- 睡眠の質を高めよう
- 妊活でおすすめの運動
- まとめ|今日から始められる3つのコト
- よくある質問
1. 欠食をしない——血糖値の安定が妊娠力を守る
当院でまずお伝えするのが、ここです。そして意外と見落とされがちなのが「男性の欠食」です。「朝はパンとコーヒーだけ」「昼は仕事が忙しくて」——ご来院の男性に、欠食や“外で済ませる1食”が続く方が多くおられます。ご自身の妊娠力を意識して、まず見直してほしいのがここです。
欠食すると血糖値が乱高下しやすい
食事を抜くと、次の食事で体が一気に糖を取り込もうとして血糖値が大きく上がり、その後また急に下がる——という“乱高下”が起きやすくなります。
さらに、文部科学省の資料では「欠食して1日の食事回数が減ると、肝臓での中性脂肪やコレステロールの合成が増大する」と解説されています [4]。極端な時間指定の話ではなく、まずは「欠食をしない」を1日の中で実行することが、血糖値の安定と体重管理の土台になります。
血糖値の乱高下は「糖化」を増やしやすい
血糖値が急上昇を繰り返すと、糖がタンパク質とくっついて起こる「糖化」という反応が進みやすいと考えられています。糖化が進むと作られるのが「AGEs(終末糖化産物)」という物質です。
糖化と卵巣の「白膜」
AGEsは卵巣にも影響を及ぼす可能性があることが、生殖医学分野のレビューで指摘されています [1]。その中では、卵巣の表面を覆う白膜(はくまく=卵巣の膜)へのAGEsの蓄積が注目されており、糖化で膜が硬く・厚くなりやすいと考えられています。
白膜が硬くなると、排卵のときに卵子が飛び出しにくくなると考えられています。また、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)ではAGEs関連の指標が高い傾向にあるとのメタ解析もあり [2]、AGEsは卵巣ステロイド合成にも関わる可能性が報告されています [3]。
※「糖化が白膜を厚くし、排卵しにくくする」というメカニズムは、当院の臨床経験でも重要と感じている点ですが、まだ解明の途上です。断定的なものではなく「〜と考えられています」としてご理解ください。
脂肪細胞が「妊娠してもいい」のシグナルを出す話
脂肪細胞からは「レプチン」というホルモンが分泌されます。レプチンは脳(視床下部)に「エネルギーは十分に蓄えられている」と伝え、排卵に必要なFSH・LHの分泌を促す経路に関わっています [5]。
つまり、体脂肪はある程度ないと脳が「今は妊娠に適さない」と判断してしまいやすいということ。極端なダイエットで脂肪を急に減らすと、月経が止まった——という経験を持つ方もいるかもしれません。
反対に「だから食べすぎてOK」とはならず、欠食しない・血糖値を安定させることを続けることが結局は妊娠力を守ります。
2. 朝・昼の食事を糖質中心にしない
当院にご来院される男性に多く見られるパターンが、朝パン、昼うどん(おにぎりだけ)という食事です。
糖質中心の食事は血糖値の乱高下が起こりやすい
パン・うどん・おにぎりの単体は、いわば“糖質のワンプレート”。血糖値が上がりやすく、そのあとの下がり方も急になりがちです。1食ごとの波が小さいほうが、糖化も酸化も抑えられます。
血糖値の乱高下は脂肪肝にも影響する
血糖値の乱高下を繰り返す生活は、脂肪肝に近づきやすいと考えられています。そして脂肪肝は、男性にとって見逃せないポイントです。
男性不妊の観点から、脂肪肝と生殖機能の関係をまとめたレビューでは、酸化ストレスが両者をつなぐ共通の経路として言及されています [6]。動物実験レベルでは、脂肪肝の状態で精子の質が低下し、酸化ストレスの亢進が見られたとの報告もあります [7]。
※あくまで研究段階の知見であり、ヒトで「脂肪肝=精子の質が悪くなる」と断定するものではありません。ただし、当院の臨床経験でも体重・腹囲・肝機能に不安がある男性は、生活改善で精液所見の改善報告に繋がりやすいと感じています。
朝こそ「ベジファースト」を心がけよう
朝、昼など、1日の中で糖質の入る食事のタイミングでは、まず野菜から食べ始める「ベジファースト」を意識してみてください。野菜の食物繊維(特に水溶性食物繊維)は、糖の吸収をゆっくりにして血糖値の急上昇を抑える働きがあります [8][9]。
▼食べる順番の目安は、こちらのイラストをご覧ください。

3. 甘いものを食べる時の一工夫
仕事や家事、育児など、普段バタバタしていると甘いものが欲しくなりますよね。私自身、疲れた時には甘いものを欲しくなります。
「食べない」より「賢く選ぶ・組み合わせる」
おすすめしたいのは、食物繊維が豊富な食べものを選ぶことです。
- ブルーベリー
- 干し柿
- 干し芋
- いちじく
食物繊維は、糖質の吸収をゆっくりにしてくれます。また、腸内細菌のエサにもなるので、腸内環境の改善にも役立ちます。腸内環境が整うことは、妊活においても重要です。
ポイントは【体を動かす前に食べること】
甘いものを摂るときは、その前に軽く体を動かしておくのがコツです。
筋肉を動かすと、糖をインスリンに頼りにくい状態で取り込む経路が活発になるため、血糖値が上がりにくくなる(=糖化しにくくなる)と考えられています [16]。
4. 惣菜などの揚げ物を控える——酸化から卵子・精子を守る
共働きの方も多いと思います。私の妻も現在も働いており、我が家も「惣菜をかわない」は現実的ではありません。
特に、揚げ物は手間も掃除も大変なので、家ですることは少なく、スーパーの惣菜を買う方も多いでしょう。
揚げ物の「酸化」が卵子・精子に影響する理由
惣菜の揚げ物は美味しいですが、油は時間が経つほど酸化が進み、過酸化脂質が増えていきます。過酸化脂質は、細胞膜を傷つけ、老化や生活習慣病のリスクを上げる原因になると言われています [12][13]。
酸化は細胞を傷つけやすく、卵子の質・精子の質に影響しやすいと考えられています [19]。
実体験です——我が家がやめたもの
実際、私たちが流産を経験したとき、まず自分たちが変えたのは「惣菜の揚げ物を買うのをやめた」ことでした。以降、食生活の見直しを続けて、妻は40代での自然妊娠・出産を授かることができました。
※これはあくまで一例であり、全員に当てはまるわけではありません。
完全に避けられない時の「一工夫」
すべて避けるのは難しいものです。外食で揚げ物が出るときは、レモンをしっかり絞って食べましょう。
レモンにはビタミンCが豊富です。ビタミンCは抗酸化作用が強く、酸化を防いでくれます。鉄をレモン水につけておくと錆びが落ちるほどの力です。
ビタミンEも一緒に摂ろう
ビタミンEは脂溶性で、細胞膜の中に入って酸化から守ってくれます。「若返りのビタミン」と呼ばれるほど抗酸化作用が強く、ビタミンCと組み合わせることで、お互いの抗酸化力がより高まります。
実際に、酸化して失われたビタミンEを、ビタミンCが元の抗酸化型へ「再生」する働きが知られています [10][11]。
(※レモンだけで揚げ物の影響が完全に消えるわけではありません。あくまで“最前線の一工夫”としてご活用ください)
5. 睡眠の質を高めよう
以前、睡眠についての本を読んだときに、「日本人は趣味の時間(ゲームや編み物など)を作るために睡眠時間を削りがち」と書かれていました。
当院にご来院される方にも、睡眠時間を減らして趣味の時間を取る方が多くおられます。妊活にとって、睡眠は“時間のムダ”ではなく、立派な妊娠力を上げる行動です。
睡眠の3つの役割
睡眠時には主に、
- 1. 脳の情報のリセット
- 2. 成長ホルモンの分泌による細胞の修復
- 3. アミロイドβの洗い流し
の3つが起こると考えられています。
脳は、使いすぎると「膨らむ」
脳は使うと血流が集まり、熱を持ちます。「知恵熱」という言葉があるほどです。
イメージとしては、昔の車のエンジン。冷却機能が弱かった時代は、長時間動かすと熱を持ち、金属が膨張してエンジンが止まってしまうことがありました。現代の空冷・水冷の進化でそうはならなくなりましたが、“長時間使いすぎたら熱を持って膨張する”という構造は、脳にも同じように当てはまると考えられます。
その熱を鎮め、修復モードに切り替えるのが睡眠です。
睡眠中、脳は「お掃除」をしている
近年は、深い睡眠中にグリンパティックシステムという脳内の掃除システムが働き、老廃物の一つであるアミロイドβ(アルツハイマー病の原因として注目されるタンパク質)が洗い流されていると考えられています [14]。
また、風邪をひいたときにしっかり寝ると回復しやすいのは、睡眠中に分泌される成長ホルモンが体の修復を担っているからと言われています。妊活中も、体を整えるうえで睡眠は非常に重要です。
睡眠と妊娠力の関係
睡眠不足は、男女ともに生殖機能に悪影響を及ぼしやすいとする報告があります [15]。妊活中の睡眠の質を上げることは、生殖医療の専門医も注目しているテーマであり、単に「寝ること」以上の意味を持ちます。
6. 妊活でおすすめの運動
妊活中は「血流を促す」「冷えを改善する」「基礎代謝を上げる」ことを目的とした、下半身を中心とした軽い有酸素・筋トレ・ストレッチが推奨されています。当院でお伝えしているのは大きく3つ——“下半身を鍛える”“下半身を伸ばす”“ウォーキングやヨガを併用する”——です。
なぜスクワットなのか——体の筋肉は下半身に集中している
人間の体は、下半身にほとんどの筋肉が集まっています。つまり、下半身に効く運動が体全体を動かす上で効率が良い、ということです。
スクワットは、大腿部の大きな筋肉を中心に鍛えられ、血糖値の管理にも役立ちます [17]。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)のインスリン抵抗性の改善にも、運動療法が取り入れられています [16]。
▼スクワットのやり方は、こちらの動画で解説しています。
特に甘いものを食べた日に、スクワットをしてみてください。筋肉が糖を取り込んでくれ、血糖値の急上昇を防ぎやすくなります。
腸腰筋のストレッチ
腸腰筋(ちょうようきん)は、体の深部を通り、その周りを下肢の血管や神経が通っている場所です。ここが硬いと血流が滞りやすいと考えられています。
ストレッチで腸腰筋を伸ばすことで、下肢の血流が良くなり、冷えやむくみの改善にも役立つと言われています [18]。妊活中に多い「下半身の冷え・血行不良」への対策としても有効です。
▼腸腰筋ストレッチのやり方は、こちらの動画で解説しています。
ウォーキング・ヨガと併用する
妊活中の運動は、スクワットやストレッチだけではありません。とくによく併用されるのが、以下の2つです。
- ウォーキング:1日30分を目安に。卵巣や子宮への血流を促す基本の有酸素運動として広く推奨されています。
- 妊活ヨガ・ストレッチ:股関節周囲の血流改善・リラックス効果があり、ストレス軽減も期待できます。
ただし、妊活中は激しい運動(高強度のランニング、長時間のハードなトレーニング)は逆効果になりうると考えられます。排卵周期や体調を見ながら、「続けられる強度」を選ぶのがポイントです。
続け方のコツ
- 1日1回、お風呂上がりなど“定番の時間”とセットにする
- 深く呼吸をしながら、無理のない回数から始める
- 激しい運動より、続けられることを優先する
まとめ|今日から始められる3つのコト
妊娠しやすい体づくりは、何かを“特別にやる”ことより、“やらないコト”を避けて毎日を少し整えることから始まります。
- 欠食をしない — 血糖値の乱高下を減らし、糖化・AGEsから卵子・精子を守る
- 糖質に偏らない・揚げ物の頻度を下げる — 野菜ファーストを意識し、酸化ストレスを減らす
- よく眠り、下半身を動かす — 成長ホルモンと筋肉の働きで、体を修復・回収しやすくする
「妊活中、何を食べたらいいですか?」という質問の答えは、実は「まず、抜かない・偏らせない」です。
体質や生活リズムには個人差があり、特に治療を継続中の方は、主治医と相談しながら進めるのが安心です。一人で悩まず、一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 妊活中、糖質制限はした方がいいですか?
A. 極端な糖質制限は推奨していません。当院がお伝えするのは「欠食をしない」「糖質に偏らない」「野菜から食べる」など、血糖値の乱高下を減らす食事の工夫です。
Q. 妊活中、揚げ物は絶対にダメですか?
A. 否定はしません。ただし「時間が経った揚げ油=酸化が進みやすい」ことを知っておくと、選び方が変わります。頻度を下げる・レモンを絞る・ビタミンC+Eを意識する工夫をどうぞ。
Q. 妊活のための睡眠は何時間が良いですか?
A. 人によって最適値は異なりますが、当院では「睡眠時間を削って趣味の時間を作る」方が多い傾向を感じています。まずは“今より少し早く寝る”ことから始めてみてください。
Q. 妊活の運動は激しい方が効果がありますか?
A. 過度な運動はむしろストレスになりうると考えられます。スクワットや腸腰筋ストレッチなど、続けられる強さで下半身を動かすことをおすすめします。
当院について
レガロ妊活鍼灸院では、鍼灸施術に分子栄養学・中医薬膳の知見を掛け合わせた妊活サポートを行っています。まずはお気軽にご相談ください。
施術の実績や症例報告は、症例報告ページにて公開しています。施術をお考えの方は、ぜひ参考にご覧ください。日々の妊活のお役立ち情報は、妊活ブログでも発信しています。
この記事の著者
市川博永(いちかわ ひろなが)
はり師・きゅう師(国家資格)/開業18年(ふないり鍼灸整骨院長)/延べ10万人以上の施術経験/レガロ妊活専門鍼灸院院長(100人以上の妊娠報告)/中医薬膳師(元料理人)/IGL医療専門学校講師/婦人科セラピー協会講師・所属
自身も不妊治療を経験し、その経験をもとに分子栄養学・中医薬膳を学び、妊活専門の鍼灸施術を行っている。
免責事項:本記事は、妊活中の方や一般の方向けの情報提供を目的としており、医師による診断・治療の代わりになるものではありません。体調に不安がある場合や、治療中の方は必ず主治医・専門医にご相談ください。
参考文献
- Merhi Z. Advanced glycation end products and their relevance in female reproduction. Hum Reprod. 2014.
- Bahreiny SS, et al. Circulating levels of advanced glycation end products in females with PCOS: a meta-analysis. Reprod Dev Med. 2024.
- Garg D, Merhi Z. Relationship between AGEs and steroidogenesis in PCOS. Reprod Biol Endocrinol. 2016.
- 文部科学省「朝食欠食と生活習慣病」.
- 吹屋レディースクリニック「食欲抑制ホルモン『レプチン』と女性ホルモン」.
- Hawksworth DJ, Burnett AL. NAFLD, male sexual dysfunction, and infertility. Sex Med Rev. 2020.
- López-Lemus UA, et al. Association between NAFLD and severe male reproductive organ impairment. J Men’s Health. 2018.
- 大阪糖尿病療養指導士会「食べる順番を変えるだけで血糖値が下がる」.
- 内野内科クリニック「血糖値を急上昇させない『ベジファースト』の科学」.
- 第一三共ヘルスケア「ビタミンEとCの相乗効果」.
- 健食「ビタミンEとは?強い抗酸化作用をもつ、老化を防ぐビタミン」.
- 藤井クリニック「食べ過ぎると危険な脂肪②〜過酸化脂質〜加工食品や高温」.
- 山口内科クリニック「古い油はなぜ悪いのか」.
- 岡田瑞恵「睡眠とアルツハイマー病―アミロイドβ蓄積の観点から―」. 2023.
- 大宮レディースクリニック「睡眠不足と不妊リスク」.
- ソアラ鍼灸院「多胞性卵巣症候群(PCOS)で痩せ型の方へ筋肉をつけ改善」.
- 四ツ谷内科外科クリニック「血糖値安定にはスクワットが有効!正しい方法や効果について」.
- ZNストレッチ「腸腰筋ストレッチの驚くべき効果6選|メリットや注意点も解説」.
- 精子の質改善.com「酸化ストレスと男性不妊」.




