高温期を安定させることが、妊娠しやすい体環境づくりの近道
治療院にご来院される方にも多いのですが、以外と見落とされがちな高温期の安定
実は、高温期の安定が妊娠への近道かも⁈
この記事は、こんな方におすすめです
・高温期が10日未満 ・高温期が安定せず、途中で基礎体温がガクッと下がる
・高温期がガタガタで2層にならない
・高温期の途中で不正出血が出る
目次
・高温期が作られる仕組み(プロゲステロンの作用)
・プロゲステロンの材料は? コレステロールが必要な理由
・胃腸の消化吸収と「自律神経・プロゲステロンの緩み作用」
・高温期を安定させるメリット:古い卵の退縮とエストロゲン調整
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と「糖化・血糖値コントロール」の深い関係
・実践ケア・アプローチ
◎高温期が作られる仕組み:プロゲステロンの作用
黄体形成と「血管新生」
排卵が終わると、卵子を放出したあとの卵胞は「黄体(おうたい)」へと変化します(黄体化) 
参考:看護roo!「月経はどのようにして起きるの?」
この黄体は、体内で最も代謝が活発な組織のひとつであり、猛烈なスピードで新しい毛細血管を作ります(血管新生)
黄体は、プロゲステロン(高温期のホルモン)を作る場所でもあります
その為、高温期を安定させるには、 「卵巣への血流」が重要です
また、黄体に酸素や栄養を沢山おくることで、沢山のプロゲステロンが分泌されます
プロゲステロン作用は、
・エストロゲンで厚くなった内膜を着床しやすいようにふかふかに変化させる作用があります
この作用により、受精卵は、内膜に潜り込みやすくなります
・体温調節中枢(視床下部)に働きかけ、体温を約0.3〜0.5℃上昇させ高温期の形成と維持をします
・子宮の収縮を抑えて妊娠を維持 子宮が収縮してしまう(お腹のハリ)と、着床した受精卵を子宮外に押し出してしまいます(流産) プロゲステロンは、子宮を緩める作用があり
妊娠中も赤ちゃんを守ってくれます 妊娠へは、 『プロゲステロンの量』と、『子宮内膜まで届ける事』が大切になります
〇プロゲステロンの材料は? なぜコレステロールが必要なのか?
プロゲステロン(黄体ホルモン)をはじめとする性ホルモンは、すべてコレステロールを原料として作られています
1. 血流に乗ってコレステロール(主にLDLコレステロール)が黄体細胞に運ばれる
2. 黄体細胞内のミトコンドリアでコレステロールが変換され、プロゲステロンが大量に合成・分泌される
ポイント
血流が悪いと原料(コレステロール)が黄体に届かず、プロゲステロンの分泌量が低下して「高温期が途中で下がる」「二相性にならない(黄体機能不全)」という状態を引き起こします またプロゲステロンを、子宮内膜に届けないと内膜がふかふかにならないので着床しにくくなります
○胃腸の消化吸収と「自律神経・プロゲステロンの緩み作用」
なぜ高温期は「脂質代謝」が主になるのか?
プロゲステロンには、受精卵を着床させ、妊娠を維持するためにエネルギーを蓄えようとする働きがあります
そのためインスリン抵抗性がやや高まり、体は、糖質よりも、エネルギー源として効率よく活用できる脂質を蓄え・エネルギーとして利用する方向へシフトします
内臓が「緩む」生理学的メカニズム
プロゲステロンには「平滑筋(へいかつきん)を緩める」という強い作用があります
・子宮収縮を抑える(赤ちゃんを排出しないため)
・胃腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑える(内臓の平滑筋も一緒に緩んでしまうため)
胃腸の動きが低下すると、食物が腸内に長くとどまるため、水分が過剰に吸収されて便秘を起こしやすくなります
また、脂質の消化には「胆汁酸」や「消化酵素」が必要ですが、胃腸の働きが鈍ると脂質の消化不良を起こし、栄養として吸収できなくなってしまいます
腸内環境を整える意義
便秘で腸内に老廃物が溜まると、悪玉菌が増殖して炎症を引き起こします
後述する「使い終わったエストロゲンの排出」も滞るため、高温期の腸内環境ケアは必須となります
○高温期を安定させるメリット:古い卵の退縮とエストロゲン調整
エストロゲンの過剰を抑える(エストロゲン優位の防止)
女性ホルモンはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロンの「バランス」が大切です
高温期にプロゲステロンがしっかり出ると、エストロゲンの暴走(子宮内膜が厚くなりすぎる、乳房が張る、PMSが酷くなるなど)を抑えることができます
「古い卵(残存卵胞)」が消える仕組み
毎月、複数の卵胞が育ち始めますが、通常は1つの「主席卵胞」だけが排卵し、選ばれなかった他の小さな卵胞はアポトーシス(自然死・閉鎖)して消えていきます
排卵後、しっかりプロゲステロンが出ることで、脳(下垂体)に対して「排卵は終わったよ!」という強力なフィードバックがかかり、FSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌が一時的にしっかり抑えられます
これによって:
1. 次の周期の卵胞がフライングして育つのを防ぐ
2. 前の周期の残存卵胞をしっかり退縮・リセットさせる
もし高温期が不安定でプロゲステロンが乏しいと、脳からの指令がダラダラと続き、消えきれなかった古い卵(残存卵胞)が次の周期に残ってしまうことがあります
すると、次周期のスタート時点で、古い卵胞が既に大きくなっているため、「生理開始から数日で排卵してしまう(早すぎる排卵=質の低い卵子になりやすい)」という現象が起こります
○ PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と「糖化・血糖値コントロール」の深い関係
糖化(AGEs)が排卵を邪魔する理由
体内の余分な糖がタンパク質と結びつく
「糖化」が起こると、AGEs(最終糖化産物)という劣化物質が作られます
これが卵巣の組織 (白膜と呼ばれる卵巣の外側の膜)に蓄積すると:
・卵巣の外膜が硬化
・厚くなる
・卵胞が成長しても、膜を突き破って外(排卵)に飛び出せなくなる
イメージとして、
クリームブリュレみたいに表面が固くなった感じです

結果として、排卵できなかった小さな卵胞が卵巣の中にズラリと残存し、超音波検査でネックレスのように見える多嚢胞(PCOS)の状態に陥りやすくなります

血糖値とインスリン過剰の罠 血糖値が急激に上がる食事を続けていると、膵臓から大量のインスリンが分泌されます この「過剰なインスリン」は、卵巣に直接作用して男性ホルモン(アンドロゲン)の合成を促進してしまいます
男性ホルモンが高くなると、さらに卵胞の成熟が途中で止まり、排卵しづらくなるという悪循環(PCOSの典型的な病態)の要因になってしまいます
実践ケア・アプローチ
卵巣血流の改善:
・骨盤周りのストレッチ、下半身を温めること、日常的なウォーキング
・胃腸ケアと脂質代謝:質の良い脂質(オメガ3やオリーブオイル等)を適量摂り、よく噛んで胃腸の負担を減らす 発酵食品や水溶性食物繊維で腸内環境を維持する
・血糖値コントロール(糖化対策):ベジファースト(野菜から食べる)、食後の軽い運動、精製された砂糖やGI値の高い炭水化物を控え、AGEsの発生を抑える
ホルモンの仕組みを知り、食事や生活習慣を整えていくことは、質の良い排卵と安定した高温期を作る大きな力になります 先ずは、高温期を安定させていきましょう!
【この記事の著者】

自己紹介動画です
【この記事の著者】
市川博永
はり師・きゅう師(国家資格)
開業18年(ふないり鍼灸整骨院長)
延べ10万人以上の施術経験
レガロ妊活専門鍼灸院院長
(100人以上の妊娠報告)
IGL医療専門学校講師
婦人科セラピー協会講師
婦人科セラピー協会所属
自身も不妊治療を経験し、その経験をもとに分子栄養学・中医薬膳を学び、妊活専門の鍼灸施術を行っている。
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